未練を残して死去した者たちは、しばしば「魂」としてこの世に留まる。
死ぬということ。いなくなるということ。
忘却への怖れ、因果な禍根を背負い、悲哀に満ちた世界を憂う魂たち。
彼らの強い想いは、時として暴走し、超常現象 ― ディストーション ― を引き起こすきっかけとなり、天変地異として現実世界に影響を及ぼした。

そして、そのようなディストーションを未然に防ぐべく、各地で魂を救済せんとする者達がいた。

― 「執行人」。

S市I区では、ここ近年、魂による被害が急速に広がっていた。
それを阻止するため、執行人は今日も夜の街を駆ける。

この物語は、S市I区でで活躍する執行人達の、その活動の記録である。

Lullaby

S市I区の執行人、榎本準矢。
執行人や魂と会話することのできる犬・ゴロー。
彼らは、数多くの魂と触れ合い、涙を流すことなく、ただ、その憂いを噛み締める。

そんな彼らの元に訪れる、様々な魂や人々の過去との邂逅。
そして「グリーズ」と呼ばれる謎の男が現れ、やがて大きな事件へと発展していく……。

Lullaby Creschendo

謎の男「グリーズ」の事件から数年後。
S市I区周辺に生じる魂達に、とある変化が起こっていた。
ただこの世に留まるだけではなく、何かしらの物体に「憑依」して存在するようになった魂達。
そしてその数は、以前の倍近くに膨れ上がっていた。

事件後、準矢が失踪したS市I区。
時を経て、萩原俊樹・波口史織の両名、そして犬のポチが執行人業務にあたっていたこの街で、新たな事件が起こる。

平凡な毎日を送っていたはずのT大学2年・猪瀬徹も、いつの間にか、その事件に巻き込まれ……。